インタビューInterview

いよいよ、本日より学生起業家向けビジネスディスカッション「STARTUP 50 for Students」の第2回募集が始まりました。今回の募集にあわせ、学生時代に起業した3人が、自らの経験を赤裸々告白。学生起業家の皆さんに、ホンネでアドバイスします。

内藤 裕紀氏

内藤 裕紀氏

株式会社ドリコム
代表取締役社長

村上 太一氏

村上 太一氏

株式会社リブセンス
代表取締役社長

中川 綾太郎氏

中川 綾太郎氏

株式会社ペロリ
代表取締役社長

学生起業ならではの利点とは?

バーンレートを抑えた“マッチョな経営”

村上
学生の起業って、お金もないしノウハウも何もない。今思うと、よくやれた、よくやったなぁと思うんですけど(笑)学生起業ならではのメリットって何なんでしょうね?
内藤
まずは資金面かな。メンバーが学生だと、人件費を抑えられるから、資金が少なくても何とかやれるんですよね。社会人だとそうはいかないケースが多いよね。
私が始めた頃は、家賃8万円くらいのところにみんなで住んで、事務所兼住居という感じにして。生活費は各自仕送りでやっていたので、バーンレート(資本燃焼率:会社を経営していくために1ヶ月いくらの資金が必要になるかという指標)は低かったですね。
村上
リブセンスも、創業時は大学の教室がオフィスで、給料も交通費もみんなゼロだったから、バーンレートはほぼゼロでした。楽しいから頑張れるよね!みたいなサークル的な感じで。
中川
超マッチョな会社ですね!
内藤
ほんと、学生ならではの利点というか。実際、そのくらいじゃないと、立ち上がらないよね。売上が立ち始めるまで、ドリコムも給料は出してなかったですね。
中川
僕の場合はちょっと違っていて。具体例を話すと、資本金は500万円、メンバーは3人。人件費がひとり月15万円で、プラス家賃だったので、バーンレートは月40~50万くらい。1年以内に立ち上げないと潰れるって分かっていたから、かなり必死でしたね。
村上
学生だから扶養の範囲でやる、という発想じゃなかったんですね。
中川
全くなかったですね。起業のタイミングで自立というか、東京で一人暮らしをしはじめたので、ある程度生活費とかも稼ぐ必要があったんですよね。ただ、それでも社会人のメンバーで起業するよりは抑えられてましたね。

天才的な学生を取り込む

中川
学生時代だからこそ、優秀な人を確保できるのって結構いいな、と思っていて。ペロリのエースで今23歳のメンバーも、創業時19歳の時から一緒にやってる。天才って埋もれてるんですよね。学生時代は気づかなかったけど(笑)
内藤
私も、学生時代は、結構仲間集めやってましたね。就職で一流企業への就職を志向するような人でも、学生時代なら一緒にやってくれる事が多いし。
村上
たしかに。自分は、高校3年で起業準備を始めてすぐメンバーを集めましたね。大学の授業とかでも、誰かエンジニアで優秀な人知らない?と聞きまわったり。優秀な人に会ったら、◯◯さんから見てもっと優秀な人知らない?とか。
中川
逆に辛い事もありますよね。“学生ベンチャーあるある”で言うと、僕の場合、3年の時に起業したから、早く会社をカタチにできないとみんな就職とかで抜けちゃうんですよ。
内藤
就職ね。学生ベンチャーならではの壁!村上さんや僕は1年の時に始めたから、時間的な部分はちょっと余裕があったかもね。

学生だからこそやれる事業領域とは?

中川
学生の時が良いのは、思いっきりど真ん中のプロダクトをやって、全力で空振りするっていうことができること。第2のLINEを開発するとか、Snapchatを開発するとか。そういう一見無謀なことにチャレンジできるのって、学生の強みだと思う。
大人の発想で考えると、コンシューマー向けの空振りするかもしれないサービスをやり続けるのってちょっと難しいかな、と。すでに有名になっているアプリがあったら、普通の上場企業ならまず後発で入っていかない。でも、学生なら“使いにくいから、もっと使いやすいサービス立ち上げるんだ!”って、ど真ん中に突っ込んでいくようなことができると思うんですよ。
内藤
あと、大学生で研究室や先生とコネクションを作ってチームを組んでやるとかもいいよね。その領域で権威のある先生や有名な研究室と組めば、ブランドにもなる。研究室の強みが活かせるカテゴリというのもいいかな。

成功する学生起業家、しない学生起業家

空気を読まない行動力

内藤
学生起業家で、成功する人としない人の差って何だろう?共通点とか。
村上
成功する人は、この人いける、って何かありますよね。何だろう、あの感じ。気合いというか、気迫というか。何が何でもやり切ってやる!という勢いみたいな。
内藤
(いい意味で)全く空気読まないで突撃してくる学生とか、いますよね。事業計画書を直接会社に持って来ちゃったりね。
中川
それはすごい(笑)
村上
自分も、サイバーエージェントの藤田さんに講演の後突撃したんですよね。やっぱり行動力ですかね。だって、自分がこれをやるぞ!って決めたら、どうにかして成功させようと思って自然に体が動く。みんなにどうしたら使ってもらえるか、どうしたら喜んでもらえるか、そればっかり徹底的に考えて行動すると思うんです。空気なんて読んでる場合じゃないですよね。

学生起業家はモテたら成功しない?!

村上
徹底的にやるということでいくと、働いてる時間が圧倒的に長い人。土日も含めてずっと働いてるかどうか、も基準かも。
内藤
確かに。起きてる時間はずっと働いてるくらいじゃないと成功しないよね。
中川
最近、あんまり働いていない起業家って多い気がするんですよ。必死さが感じられないというか。本当にこの事業で成功するつもりあるのか、わかんない人。
内藤
いますね。アクセサリー起業家!「起業家です」って、飲み会とかで言うために起業しているような。で、モテるみたいな(笑)学生起業家がモテるようになったら成功しないよね、きっと。そんな場合じゃない。そんな時間ないでしょ。
村上
起業当時、大学の教室の一室がオフィスだったんですけど、ずーっといるから「不夜城」って言われてました。隣のオフィスに与沢翼さんが入っていて、お互い電気が消えるタイミングがわかる。競争するみたいに働いてましたね。サイバーエージェントの藤田さんの著書に週110時間働くって書いてるのを読んで、うちは120時間以上働く!とか。
中川
僕もオフィスに住んでました(笑)布団とマットレス置いて、寝る以外働く。シンプルです。本気なら、そのくらいやるはず。村上さんも冒頭言ってましたけど、学生起業家はお金もないし、ノウハウもない。自分とメンバーしかないんです。全力でやらなきゃ。もちろん、健康も大事ですけどね(笑)

目先にとらわれ過ぎない

中川
あと、目先の売上ばっかり追いかけてる人って、そんなに伸びてないんじゃないかな。例えば、新卒採用サービスとか、一定収益が得やすいサービスとかだと、営業頑張って目先の売上は立てられたりするんですよね。他のWebサービス会社より早く収益が上がったりして。でも、安心してしまうのか、それで満足してしまうのか、頑張っても1億円規模で止まってることが多い気がしますね。
内藤
気持ちはわかるんですけどね。いつ収益が上がるかとか、手探りの中でやっていくのって、相当不安だと思うんですよ。だから、目先で稼ぎやすい方に走ってしまう。私だって、新しいサービスを仕込むとき、未だにやっぱり不安はありますしね。空振りするかもしれない中で、みんなでやり続ける勇気。
村上
そういえば学生時代、先行して売上が上がってる起業家に、すごい見下された苦い記憶が。
中川
本来、さっきみたいなサービスの営業とか頑張れる人って、すごい働いていて、徹底力がある人も多いのに、読み違えるとスケールせずに終わってしまうんですよね。別のことやればよかったのに、もったいないなぁと思います。
内藤
受託開発とかをしながらキャッシュ・フローをつくって、やりたいことをやるっていう選択肢もあるけどね。
中川
ペロリは受託開発とかは一切やらなかったですね。抜け出せなくなるから、やらないってみんなで決めてました。当時は頭でっかちだったんですよね。受託=抜け出せないものだって。
村上
うちは当時、Webコンサルをやって経費を稼いでました。でも、絶対これじゃないって自分に強く言い聞かせてた。やっぱり、足元を見過ぎると、中長期の投資ができなくなるんですよね。で、結果スケールしなくなってしまう。本質を見るというか、目先にとらわれ過ぎずに数年後を妄想して今何をやっておくべきか見極めるって大切ですよね。

今、学生起業家に伝えたい3つのこと

村上
起業したい学生にアドバイスするとしたら、何を伝えます?
内藤
1つは、「資本政策」かな。学生が起業で失敗する要因として大きいと思う。4人いたら25%ずつ株を持っちゃうケースとか結構あると思うんですけど、誰か1人に寄せたほうが良いですね。後でモメるし、ファイナンスする際にもやり辛くなることが多い。
村上
リブセンスの場合、資本金300万円だったんですけど、私が200万円であと2人が50万ずつといった感じでした。
中川
2つめは、「プロダクト」ですね。最近、まだユーザーに使われるサービスになっていないのに、すごいバリュエーションがついてしまったり、資金調達できてしまっていたりするから逆張りが起きていると思うんですよ。コンセプトとプレゼンだけで調達ができてしまう状況になってしまっている。
内藤
たしかに。本当の意味でプロダクトを創れる人が少ないのかもしれない。資金の出し手は増えているけれど、新しい価値を生み出せる人自体は増えていない気がするなぁ。
中川
キュレーションメディアをやる人も増えてるんですよ。僕自身は、メディアの構造を変えようと思ってやってるんですけど・・・
村上
MERYみたいに新しい価値を創ろうっていう観点こそが大事ですよね。
内藤
プレイヤーとして頭角を現すためには、「キュレーションメディアといえばMERY」とか「AIといえば◯◯」とか、そういう存在になることが大事ですよね。結局、ベンチャーキャピタルが出資先を選ぶ際にもそこが選ばれるし、1番に名前が上がる存在になるって重要。そのために、戦略的にキーマンに認知してもらったりメディアに取り上げられたりすることが必要なんでしょうね。
私の場合、当時、ちょうどブログが流行り始めた頃で、主要なブロガーの方に「学生なので、色々教えて下さい!」と頼んで話を聞きに行きました。自分たちを知ってもらうことで、その方たちが取材を受けた際等に、「こんな会社あるよ」と間接的に紹介してもらえるのではないかと考えたわけです。実際、その通りになったんですよ。2004年に、ベンチャー企業向けカンファレンスIVS(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)の前身となるNILS(ニュー・インダストリー・リーダーズ・サミット)ができたのですが、当時「C-NET Japan」の編集長だった山岸さん(現・グリー取締役)とお会いしていたことがきっかけとなり、第1回イベントで登壇させていただくことになりました。学生なのに他の起業家と同じように1時間話をさせてもらって。それで一気に知名度が上がり、色々な会社から発注いただけるようになったんです。それから1年2ヶ月後に上場しました。
村上
当時、「学生ベンチャーといえばドリコム」だったんですか?
内藤
当時は、「ブログといえばドリコム」といった感じでしたね。上場する頃に社名の認知が上がってきて、Web2.0とか76(ナナロク)世代とか、そんなテーマが盛り上がっていた頃ですね。今だと、女子高生起業家がよくメディアにも取り上げられていたりしますけど、やっぱり分かりやすくて印象に残るし、上手いなと思いますね。
中川
3つ目は「人材」ですかね。先述の優秀な人集めもそうだけど。
内藤
人材で言うと、「1人信頼できる大人を入れる」ってこと。利害関係が全くない大人がいてくれるかどうかで全然違う。
中川
契約書1つとっても、製本ってどうするんだ?とかハンコどこに押せばいいんだ?とか、そういう細かいこととかも分からないし。
内藤
学生の頃、京都の商工会議所の無料相談にひたすら通い詰めてました(笑)
村上
確かに。大人が創業時にいたら、1年早く上場出来たかも。創業3年目で経常が1億5千万円とか上がっていたんですけど、お金の使い方が分かっていなくて、オフィスは大学内だし正社員ゼロだし、っていうケチケチ状況で。
中川
メンターのような存在の大人って必要ですよね。僕の場合、(佐俣)アンリさんかなぁ。すごく大きな存在ですね。
内藤
とはいえ、東京だと先輩起業家も多いけど、地方だとなかなかメンターを見つけたりアドバイスもらったりする機会がないんですよ。私もそうだった。
村上
そういう意味でも、「STARTUP50 for Students」を上手く使ってほしいですね。
内藤
上手くまとまりましたね!
内藤 裕紀氏
内藤 裕紀氏

1978年東京都生まれ。京都大学在学中の2001年にドリコムを設立。ブログサービス事業で業績を大きく伸ばし、2006年東証マザーズ上場を果たす。現在は国内外に向けたゲーム事業、広告事業・メディア事業、ソーシャルラーニング事業を展開。自ら新たなサービスを産み出し、そしてその機会を創出することにも注力している。

村上 太一氏
村上 太一氏

1986年東京都生まれ。高校時代から、創業メンバー集めなど起業準備を開始。2005年、早稲田大学政治経済学部入学。2006年2月、大学1年生でリブセンスを設立。2011年12月に東証マザーズ、2012年10月に東証一部へ史上最年少25歳で上場。会社や事業の事を考えるのが何より好きで、365日仕事を楽しむ。

中川 綾太郎氏
中川 綾太郎氏

株式会社ペロリ代表取締役。1988年生まれ。現在、女性向けファッションを中心としたトレンド情報を発信する女性向けキュレーションプラットフォーム「MERY」を運営。MERYの月間ユニークユーザー数は2,000万を誇る。

  • この記事が気に入ったら、いいね!しよう

    STARTUP50の最新情報をお届けします。

学生起業家向けビジネスディスカッション
「STARTUP 50 for Students」エントリー受付中

STARTUP 50 for Studentsを通して、「世界」を変えるあたらしいあたりまえを創る学生のビジネスプランを本気でブラッシュアップします。皆様からのエントリーお待ちしております!